2017/03/01

アンパンチで天井を壊した代ゼミの英語講師・西谷昇二氏の評判を昔の受講生が語る




1 多感な時期に接した思い出に残る先生


誰しも、多感な時期に接した想い出に残る先生がいると思います。

遠い昔の浪人生時代、私は代々木ゼミナールに通っており、英語は西谷昇二先生のコマを受講していました。

代ゼミの西谷といえば、予備校業界では東進ハイスクールの林先生に負けず劣らず有名で、講師歴は30年以上になるそうなので、この記事を読んでいる方の中にも教えを受けた方がいることでしょう。

西谷先生は、何かと精神的に不安定な予備校生に対し、いつも溌剌と講義をしてくださり、元気を貰ったことを覚えています。

私の座る席はいつも後ろの方で、録音テープを用意するわけでもなく、真面目な生徒とは言えませんでしたが、講義はしっかりと聞いていました。

また、先生の教え方は要点を付くもので、分かりやすかったように記憶しています。


2 予備校の人気講師と生徒との相性


予備校業界では、人気講師と言われる先生は何人もおりますが、生徒に合う合わないもあり、そのあたりは実際に受講してみないと分からないので、一種賭けのようなところがあるかもしれません。

ただ、代ゼミに限らずプレ講義のようなものもあると思いますし、
今は昔とは違い、WEB上に授業の動画がアップされていますので、それらを参考にできます。

また、ネットで講師の評判も確認できると思いますが、嘘も多いかもしれず、良い講師としての評価基準も様々で、最終的に志望校に合格できた、テキストの内容に類似する試験問題が出題された、その教科の実力を上げてくれた、その教科の効率的とか肝となる勉強方法を教えてくれた、その教科の面白さを教えてくれた、勉強に対するモチベーションを上げてくれた、などが複合的に絡み合い、個々人によって異なると思いますが、なるべくなら講師の選択を外さないように選んでほしいと思います。


3 受験勉強や大学入学に対する考え方の変化


もっとも、暗記だらけの受験勉強に疑問が呈され、学歴を手に入れることや、校舎で講義を受けることの価値が薄れ、雑多な友人関係さえもわざわざ大学に行かなくても得られる現状では、全く違う選択肢を考慮に入れるべきなのかもしれません。

また、多くの学生が奨学金を借りていますが、多額の借金を背負ってまで学ぶべきことなのかも真剣に検討するべきでしょう。


4 有限であるお金や時間


こんな事を言うと、お世話になった西谷先生をはじめ、受験産業に従事する方々に怒られてしまいそうですが、お金や時間は有限であり、手持ちの資源をどのように配分し、どのように投資や消費、または浪費に回していくかは人生における重要なテーマです。

ただ後から振り返ってみると、実はあの浪費が将来への投資になっていた、ということはあり得ます。過去にしてしまった大きな失敗が、転機となって将来に活きてくることは当然ありますので、選択時に一概に何が正しいかは判断できず、事後にすら分からないことも多いでしょう。

私自身のことを振り返ってみると、それこそ時間だけはあった大学時代に経験した下らない事が、今に活きていると思うこともありますし、身を入れて本当の勉強や読書をすればよかったと思うこともあります。


5 アンパンマンのマーチを歌う予備校講師


話は戻りますが、西谷先生は時折アンパンマンのマーチを歌っていました。

その魂の叫びのような歌声から、多くの勇気を貰いました。

歌いながらジャンプをして、アンパンチで天井を壊したことが過去にあったと話していたことも記憶しています。


6 先生が元気の裏で抱えていたもの


しかし、先生は元気一辺倒ではなく、その裏で、生い立ちに葛藤を抱えて生きてきたことを話してくれました。

そのためか分かりませんが、先生は30歳まで定職に就かず、自分探しをしていたそうです。

そんな先生を変えたのが奥様との出会いで、奥様との色んなエピソードを自慢げに話していたことを覚えています。

今ではその奥様と別れてしまったそうですが、家族の話以外にも、人生や音楽、文学などについて語ってくれました。


7 アメリカ大統領・リチャードニクソンの言葉


その中で記憶に残っている言葉が一つあります。



A man is not finished when he is defeated. He is finished when he quits.

人間は負けたら終わりなのではない、辞めたら終わりなのだ


第37代アメリカ合衆国大統領 リチャード・ニクソン


このニクソンの言葉は、講義で聞いたのかテキストに書かれていたのか覚えていませんが、私の心に残っています。


8 アンパンマンの作者・やなせたかし氏の人生とニクソンの言葉


調べてみると、アンパンマンの世間でのブレイクは、作者の
やなせたかし氏が50歳から描き始めてから20年後の70歳になる直前のことだそうです。

やなせ氏が、「人間は負けたら終わりではない、止めたら終わりなのだ」の言葉を地で行く人であったことが分かります。


何のために生まれて 何をして生きるのか


このフレーズはアンパンマンのマーチのありますが、この問いに答えを見つけた人だけが、ニクソンの言葉を自分自身に問い続けることができるのかもしれません。


9 授業中の雑談は必要ないのか?


先日、ある記事で先生を目にし、 最近の若い子は内向きかつ現実的で、夢や目標を持とうとせず、雑談も受験に関係ないから興味を持ってくれないと語っているのを拝見しました。

塾の講師とは、希望校に受からせるのが仕事であり、受験内容に関係ないことは不必要との意見も分かります。

また、コロナ騒動などもそうですが、沢山の嫌なニュースが世間を覆い、日々生きていくだけでも大変なのだから、夢や目標などよりも、現実的で着実な人生を目指すべきという思いも分かります。

しかし、どれだけ地に足のついた現実的な生涯であっても、人生にはその人なりの悲喜交交(ひきこもごも)があるはずです。

そしてそのときに、西谷先生のような人間の弱さを知っている者の眼差しから語られる雑談が、必ず生きてくると思うのです。

また、先に述べたように、過去の浪費が将来の投資となっていたことや、過去の失敗が将来の成功へと導いた話は世間では沢山ありますので、合理一辺倒だけで人生を判断するのではなく、ときには心を外に開き、くだらなくても小さくても、夢や目標を持ってほしいと、いい歳をした昔の受験生は今の若者に伝えたいと思います。

ということで、今も予備校の第一線で活躍する代ゼミの西谷昇二先生の授業は、私自身にとっては良かったと言えます。



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