2019/04/09

就職活動でOB・OGと繋がれるマッチングアプリについて考えてみます




acworksさんによる写真ACからの写真 



日本でも有数の大企業が、就職活動のOB訪問で揺れています。

OB訪問とは、就職活動中の学生が、興味のある企業に在籍する大学の先輩へと接触を図り、詳しい社内や業界の話を聞くというものです。

まず一件目に起きた事件は、大手ゼネコンに勤務する27歳の若手社員が、面接の指導を騙って女子学生を自宅に連れ込み、ワイセツ行為をした疑いで逮捕されました。

二件目は、大手商社の24歳の元社員が、訪れてきた女子学生に酒を強要し、性的な暴行を加えた疑いを在籍時に起こしていた罪で逮捕されました。

今回の事件は、両方ともスマホのマッチングアプリを通じて出会ったそうです。

日経ビジネスの記事によれば、このOB・OG訪問を行う際のマッチングアプリは2017年頃から普及したもので、大学名だけでなく会社名も出すため、当然所属企業の許可は得ているものの、条件が合えば出会い系アプリのように簡単に個別メッセージのやり取りができるようです。その手軽さが今回の事件に繋がった模様です。

このように厳密に会社を通さず、手軽にアプリでお互いがやり取りできるということは、会社対学生ではなく、個人対個人の気安い関係に発展していく可能性を孕んでいます。

今回事件が起きた大手商社では、ビズリーチ・キャンパスというネットワークサービスと提携して企業自らが率先して行っていたようですが、人事部の人間はこのような危険性を考慮していなかったのでしょうか?

学生の応募が少ない中小企業ならいざ知らず、人気のある大企業において、学生がアプリで簡単に申請できるということは、気安い問い合わせが殺到するのは目に見えており、仕事を覚えたり自己啓発などの必要がある若手社員が、時間を取られてしまうことなどは考えなかったのでしょうか?

また問い合わせが殺到すれば、今回のように人気のある大企業の若手社員は、勘違いしてしまうのも目に見えていたはずです。

実績もない若手社員が、会社のブランドで多数の問い合わせが来ているのにも関わらず、それを自分の実力だと勘違いし、必死の思いで擦り寄ってくる弱い立場の学生に対して調子に乗ってしまう。またそのように勘違いしたぺえぺえ社員は、味を占めたら繰り返す可能性が高いことも当然考えられることです。

浮わついた気分の若手社員に対し、会社の肩書きを与えた上で野放しにするリスクは、ブランド力のある大企業であれば当然理解していなくてはならないはずです。

もちろん、罪を犯した若手社員にすべての責任がありますが、会社の名前を安易に使わせ、お手軽なアプリで会えることを許可した人間も責任を取るべきでしょう。

毎回思いますが、このような不祥事が報道されると、他の真面目な社員や会社を誇りにしている社員がとんだ迷惑を被ってしまいます。

今回逮捕された社員のように、会社のブランドや強い立場を利用するような人間は、取引相手などもブランドや立場で判断するようになり、事物の本質を見抜けなくなり、相手からの信頼も得られず、やがては会社のお荷物になっていくことが予想され、早めに目が摘まれて良かったという見方もあるのかもしれません。

ただ、大手ゼネコンの社員は、なぜか不起訴にされたようです。

これだけ大々的に報道されていて、なぜでしょうか? 検察はその理由を明らかにしていないようです。

私がOB訪問という言葉を聞いて思い出すのは、大学の就職課で読んだファイルのことです。

大手総合商社は、今と同じように昔も人気がありました。

そのような中で、私も興味を持って色々と調べ、当然大学の就職課にも足を運びました。

そして、就職課の資料室に閉じてあった、OBやOGのコメントが記された総合商社のファイルに目を通していたとき、ある卒業生の変わった記載が目に留まりました。

それは、OB訪問を希望する企業に自分の大学の卒業生がいなかったため、他大学の就職課に潜り込んで資料を見ていたという記載でした。

その先輩は、潜入した他の有名私大の就職課のファイルから気になった社員を選び、接触を図っていたということでした。


そして文の最後には、


「僕はそのようにOB訪問を行い、就職を勝ち取ることができたから、君も諦めずに頑張れ」


といった内容が記載されていました。


私はその文を読んだとき、その先輩の行動力と温かいメッセージに胸を打たれました。

そして、もし自分も同じように行動して努力すれば、もしかしたら内定を得られるかもしれないと思いましたが、私はその先輩のように行動することはできませんでした。

それは、そこまで就職したい企業がなかったのもそうですが、行動に移すだけの勇気がありませんでした。

結局、私の就職活動は、何のために働くのかや、何のために就職するのかという根本的な問いにはっきり答えが出せないまま、そこに自分の準備不足や実力不足が加わり、さらには超氷河期という環境も重なって散々な結果となりました。

当時の氷河期とはどのようなものであったかというと、慶應大学の有名なゼミに所属するゼミ長が、例年であれば名だたる大企業から軒並み内定を貰えるにも関わらず、今年は箸にも棒にもかからず、名も無い教育系の会社に就職したということがテレビ番組で特集されていたような状況でした。

もちろん、そのような環境にあっても、人気企業に内定を得ていた学生はいたわけですが、新卒での就職が狭き門であり、超買い手市場だったことは確かでした。

当時の苦労は、今となっては思い出したくない過去ですが、あのとき就職課の資料室で受けた感銘と、その先輩と同じように行動に移せなかった自分の弱さだけは、はっきりと覚えています。

そして、そんな弱い自分を変えたいと強く意識したことも、はっきり覚えています。

今回事件が立て続けに起き、OB訪問に悪いイメージが定着し、また大学名などにこだわるのは了見が狭いとの意見もありますが、近頃スタートアップを中心に、リファラル採用という社員のツテによる縁故採用が増えているように、ある種の繋がりを活かすことは間違いではありません。

しかし、会社の看板を背負いながら、軽率な行動を平気で取る社会人もいることから、もし学生がOB訪問を行うのであれば、安直なアプリに頼るのではなく、直接企業に問い合わせたほうが、そのような人間に当たる確率も減り、ダラダラした関係に陥る危険性も回避できるのではないでしょうか。

内定がなかなか出なかったり、孤独な就職活動をしていると、アプリなどで親身になってくれる社会人が頼りになるのは事実かもしれませんが、そんな不安につけ込んでくる悪い人間は、会社の規模やブランドに関わらず存在するので、深入りしないという意味でも、またお互いの防衛という意味でも、直接問い合わせた方がいいのではと思います。

そしてもし希望する企業にOBやOGがいなければ、それを素直に伝え、正々堂々と別の社員を紹介してもらえばいいと思います。

ただし、会うと決まった場合は、会社や業界の動向を調べていくのはもちろんですが、具体的な質問を必ず用意し、中で働いている者でしか分からない話を引き出す工夫を練っていくべきでしょう。

どんな組織でも、裏側の事情というものが当然あります。

それは個人にも当てはまりますが、表向きの情報がすべてではなく、むしろ、裏側の泥臭かったりグレーの部分が重要だったりします。

就職活動の面接で自分をよく見せるように、会社が表に出している広報も、当然そこには何らかの装飾がされています。

その表には見えてこない情報は、OBやOG訪問で直接会ってこそ、引き出せる可能性があります。

もちろん今はネット時代なので、ある程度の内情を知ることはできますが、古かったり、嘘であることも多いでしょう。

そのため現在働いている社員に、直に接触できるOB・OG訪問は、最新の事情をそれとなく聞き出せるまたとない機会でしょう。

ということで私の結論になりますが、OB・OG訪問は重要だけれども、学生の不安や焦りに付け込むような社会人を回避するには、個人的な関係に陥りやすい安直なスマホアプリは避けたほうが良いのではないかと思います。

就活ルールの廃止が決まり、先の見えない中での活動で大変だと思いますが、是非とも頑張ってください。


0 件のコメント:

コメントを投稿