危機管理能力を高めることは、個人でも組織でも大切なことです。
テロや災害といった突発的な危機が起きた時、慌てずに日々の業務が遂行できるよう、事前に計画しておくだけでも違います。
組織における事前準備は、事業継続計画(BCP)と呼ばれるものがそれです。
広く解釈した言葉の意味は、
災害や事故などが発生した場合に、企業や行政組織が基幹事業を継続したり、早期に事業を再開するために策定する行動計画。
引用 コトバンク 小学館デジタル大辞泉
であり、(Business Continuity Plan)の言葉通り、危機に陥ってもビジネスを継続していく計画のことです。
危機を意識しなければ、危機管理能力は生まれません。
ぬるま湯の中で育った子供が、生存競争の激しい切った張ったの世界に放り出されたら、生きていくことはできないでしょう。
大企業も安泰ではなく、終身雇用制度も崩壊し、自身の能力が切実に問われる時代において、組織に安住する場所はないと考えておかなければなりません。
よって、雇用の打ち切りといった危機はいつ訪れないとも限りません。
そして、その非日常である危機への備えは、日常を超えた場面に身を置き、たくましい精神を獲得することから始まるはずです。
当ブログで紹介した映画「ビフォア・サンライズ」の中で、主人公のアメリカ人青年が、お金がないために帰国のフライトまでホテルに泊まらず朝まで街で過ごす、というセリフがあります。
私がアメリカで出会った高校を卒業したばかりのアメリカの青年は、大学入学まで砂浜で野宿をしていると言い、みすぼらしい寝袋を見せてくれましたが、随分タフな精神力を兼ね備えていると思ったものです。
またサッカーのワールドカップなど、各種世界大会で他国へ訪れる外国人が、宿泊施設に泊まらず駅の構内で雑魚寝するといった姿が映し出されたりもします。
それに比較して日本人はどうでしょうか。
私に関して言えば、トランジットのために仕方なく空港の椅子で寝たり、せいぜい借りたレンタカーの中で寝たことぐらいしかありません。
勿論海外の危険な場所での野宿はもってのほかであり、またことさら卑屈になる必要もありませんが、私を含め、日本人はたくましい精神を失ってしまったと言わざるを得ません。
かりそめの平和に浸りきり、生きる逞しさを大人たちは失い、その大人たちが創る社会の中で育つ子供たちも、たくましい精神を失ってしまったのではないでしょうか。
では、どうしたら日本の子供たちが、たくましい精神力を身に付け、危機管理意識を向上させることができるでしょうか?
それは、以前紹介したルバング島の日本兵・小野田寛郎氏が設立した小野田自然塾に通わせるのも一つの方法ですが、キャンプという非日常での宿泊ではなく、日常の中で宿泊を取り入れることを提唱したいと思います。
それは、何でもない平日の夜に、家の近くの公園で野宿をすることです。
小野田自然塾の素晴らしいカリキュラムは、生前の小野田氏が記した本である「君たちどうする?」を読めば分かりますが、キャンプという非日常では、あくまで非日常の意識が抜けず、キャンプが終わって日常生活に戻ってしまえば、呼び覚まされた逞しい精神が再び消え失せてしまう可能性もあるかもしれません。
そのため、敢えて平日で、しかも普段住んでいる近所という日常において、非日常の野宿を行うことで、日常と非日常は常に隣り合わせにあることを肌で理解させるのがいいのではないかと思います。
危機とは何でもない平常時から突如発生します。
その時に、いつなんどきも臨戦態勢を取れる、デューク東郷(ゴルゴ13)やルパン三世の峰不二子のようなタフな大人に育てるのが狙いです。
何も宿泊は近所の公園に行かなくてもできます。
ただ単に家のベランダに寝袋を設定し、そこで寝るだけでも効果はあるはずです。
アパートやマンションのベランダが狭ければ、屋上に登ってテントを張り、そこで寝るのもいいかもしれません。
このような行動を子供たちと一緒に親が取ることで、たくましい精神力を培っていけるのではないかと思います。
そして、平穏に過ごしている日常へ、いつ訪れるとも分からない非日常の危機や困難に動揺せず、平然と立ち向かっていける人間に育ち、自分の人生を生き抜くことができるようになってくれたら嬉しいですね。
ということで、危機管理能力が子どもに身に付く方法とは、日常生活に非日常の野宿を取り入れ、平時と危機は隣り合わせにあることを身体で覚えてもらうことを私は主張します。
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