2017/06/11

長所となりうる好奇心旺盛な子供に育てる方法  



スペースシャトル アトランティス
NASA  パブリックドメイン



好奇心は、人間にとって重要な性質となります。

多くの幼稚園や保育園では、「お子様の好奇心を育みます」といったように教育方針に謳っています。

では、なぜ生きていく上で、好奇心が大切なのでしょうか?

それは、旺盛な好奇心を持つことが、


「これはどうなっているのだろう?」


という、事や物への疑問に繋がり、疑問を持つことは、考えることに繋がるからです。


自分の人生をどのように生きていくべきか?」


これは誰にとっても切実な問題で、誰にとっても答えのない問題で、一生を通して探していくべき課題ですが、これを見つけるには考えることが必要です。

そして、考えることの発生源は好奇心が大半を占めます。

しかし、考えるだけでは駄目で、何事も行動しなければ自分の身にはつかず、真理も成功も掴めません。

そして、この行動の源泉も、旺盛な好奇心が大半を占めます。


「この行動をしたらどうなるのだろう?」


という旺盛な好奇心から生まれた思いは、新しい経験や挑戦を増やし、何らかの発見へと至ります。

初めの経験や挑戦は、沢山の失敗を発見するでしょう。

しかし、旺盛な好奇心が


「なぜ失敗したのだろう?」


と再考を促し、修正をした後に、再び経験や挑戦に向かいます。

考えて、経験や挑戦をし、発見をして、さらに考える、と続く循環は、何かを成し遂げるために必ず通る過程です。

このプロセスを世間では「PDCAサイクル」と呼び、仕事などで重視される指標となっています。


PLAN(計画)→DO(実行)→CHECK(評価)→ACT(改善)




oldtakasuさんによる写真ACからの写真 



この正の循環を自発的に行う作用が、旺盛な好奇心にはあります。

そして、最後に成功や真理を発見すれば、目的は達成したことになりますが、ここで、天才として名前が挙がる、アルベルト・アインシュタインの言葉を引用します。


重要なことは、疑問を持つのを止めないことである。好奇心は、それ自身に存在意義がある。

The important thing is not to stop questioning. Curiosity has its own reason for existing.



私に特別な才能はありません。ものすごく好奇心が旺盛なだけです。


I have no special talent. I am only passionately curious.



このように旺盛な好奇心は、幅広い対象へと興味が向かい、独創的な創造や複雑な問題解決へと至る礎となります。

では、どうしたら旺盛な好奇心を持つことができるのか、論じていきたいと思います。

乳児期において赤ちゃんは、おしゃぶりなど与えられた物を、触ったり、舐めたり、口に入れたりして、それがどんな物かを確かめようとします。


やがてハイハイを始める頃になると、周囲に対する興味がどんどん増してきて、手当たり次第、周りの世界を確かめようとします。


このように、旺盛な好奇心はどんな赤ちゃんにも存在します。

しかし、大抵の親はここで危ないからといって、赤ちゃんから物を取り上げたり遠ざけてしまいます。


もちろん、タバコや飴、電池や薬など本当に危険な物は遠ざけたり取り上げなければなりませんが、それ以外の物も危険だと赤ちゃんから切り離してしまう行為にはデメリットがあります。


それは、どの子供も本来持つ、世界に対する広範な興味を削いでしまうことになるからです。
つまり、赤ちゃんは好奇心を否定され、発露する場所を失っていきます。

脳でも筋肉でも何でも使わなくなれば衰えていきますので、やがて好奇心も減退していくはずです。ですから、
ハイハイを始めた頃に安全なオモチャを沢山与え、思う存分確認させてあげ、またそのためには安全な空間を確保しなければなりませんので、ベビーサークルが必要になります。

親が目を離していても、自由に好奇心を満たせる場所を赤ちゃんに用意してあげるのです。
親の目が届いて安心だからという理由で、ベビーチェアやバウンサーに座らせておくよりも、状況によりけりだと思いますが、なるべくなら離れていても、ベビーサークルの中で自由に遊ばせてあげた方がいいのではと思います。

また、サークルの中で赤ちゃんが身体を動かすことは、自分自身の身体の動作確認をしている行為ですので、なるべくなら大きいサークルを用意したほうがいいでしょう。


もし可能であれば、ベビーサークルではなく、危険な箇所にベビーゲートを設置し、柱など角ばった部分にコーナークッションを貼り、自由に移動させてあげた方がいいかもしれません。

この方針で子どもを育てていくと、またそうでなくても、1歳を過ぎて歩き始める頃になると、大変なことになります。

赤ちゃんは、好奇心を満たすために、周りの物を手当たり次第荒らしていきます。


しかし、極力ここで駄目と言わず、
ただし危険な物や大事な物は必ず排除しておき、好奇心を満たせてあげることが重要なのではないかと思います。

大抵の家庭はこれができず、駄目と言って取り上げたり、怒ったりしてしまいます。
実際生活をしていればそれが普通であり、子供の好奇心をすべてに優先させることは不可能だからです。

しかし、もしお子さんの好奇心を育みたいのであれば、ここで我慢しなくてはならないでしょう。

やがて2歳や3歳になると、もっと自由にやりだします。


様々な対象を確かめるために、いたずらをして壊していきます。

もし子供の好奇心を育みたいのであれば、ここでも駄目と言ってはならないでしょう。

もちろん、すべてを子どものやりたい放題にさせておくわけにはいきません。

自由に育てていくと、お菓子をもっと食べたいとか我が儘になりますが、そこは毅然と撥ね付けなければなりません。

家庭内で必ずルールを作り、その範囲内であれば、一切の自由を認めるという方針を貫くのです。

家を荒らされたくなければ、壊れても差し支えない物を、オモチャだけでなく日用品も沢山与えます。

三つ子の魂百までではないですが、3歳ぐらいまで自由に育てれば、その後はまた違った外部環境が影響してくるとは思いますが、自分で好奇心を育んでいけるのではないかと思います。


当然ですが、子供が自分の性格を形成していく過程においては、様々な要因が関係してくるはずですが、赤ちゃんが外部の物や自分自身の存在をおしゃぶりで確かめることは好奇心の発露であり、それを阻害することで、好奇心の芽を摘んでしまうことになる可能性はあるでしょう。

しかし、ここまで徹底して駄目と言わない子育てをすると、怪我をする率が確実に上がりますので、そのあたりは覚悟しなければなりませんし、命に関わる行動や大怪我に発展するような行動は、制止するのはもちろんのこと、禁止しなくてはならないことは言うまでもありません。

ちなみに、自由に育てていくと、レストランなどの公共の場所でも大人しくできませんので、もし子供を叱りたくなければ、小さな頃は行かない方が賢明でしょう。

またハイハイを始める前にも、仰向けで寝ている赤ちゃんの頭上に、人形などが回るオモチャ(オルゴールメリー)を据え付け、好奇心を刺激してあげた方がいいと思います。


テレビなどの動画に関しては、情報量によっては受動的になり、好奇心を失ってしまう可能性もあるため、幼い子にテレビやスマホ1台渡してお守りをするといったことは、やめた方がいいかもしれません。

最後に、人類が火を扱い始めたときのことをお話します。

この話は以前ブログで述べたことがありますが、好奇心と大いに関連しますので、ここでも紹介します。


人類が火を使い始めた時期は断定されていませんが、原人(ホモ・エレクトス)が、噴火・雷・化学反応などの自然発火による火災から、松明にするなどして持ち帰ったことが始まりだと推測されています。


歴史の記述ではたったこれだけですが、人類が自然界の火と出会ってから松明にするまでの間には、途方もない時間が流れているはずです。


その間、他の動物と同じように、人類も火を恐れていたはずですが、複雑な心を獲得していった過程の中で、あるときから、火にはどんな効用があるのかを疑問を持って観察し始めたのでしょう。


それこそが好奇心であり、またこの観察には、火を恐れない勇気が必要ですが、好奇心は勇気をも育てるのです。


そして、歴史上のある時点で登場した人物や集団が、初めて、自然界の火を松明にして持ち帰ったのです。


この火の使用は、獣や虫を遠ざけたり追い込んだり、食糧を加熱調理することで吸収率を高めたり病原菌を殺傷したり、明かりとして用いて夜間の活動を可能にしたり、暖を取ることで寒冷地への移動を可能にしたりと、人類の繁殖力を飛躍的に上昇させる、エポック・メーキングな出来事でした。

その中でも、デンプンを含む植物を加熱調理することで、その堅牢な細胞壁を破壊させ、脳のエネルギー源であるブドウ糖を、ヒトの消化酵素(アミラーゼ)で容易に分解して摂取できるようになったことが、脳の発達を大きく促したとも考えられています。

このように、火の使用へと至る過程と人類の進化には、ヒトの好奇心と勇気が凝縮されているのです。

そしてその好奇心を用い、人類は宇宙にまで進出しました。


子供の好奇心を潰さずに育てること


それは赤ちゃんなら誰しもが持っている好奇心の芽を、極力潰さないで育ててあげることだと思いますが、普通に生活していたら、それが難しいことなのもまた事実でしょう。




参考文献


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