ジャングル
bere von awstburgによるPixabayからの画像
書籍「君たち、どうする?」は、第二次世界大戦の終結後、30年もの間、フィリピンのジャングルで戦っていた小野田寛郎氏が日本の少年少女たちに向けて記したものです。
私は幼少期に受けた心の傷から子供の教育に関心があり、また子供の誕生を期に多くの子育て本を読みましたが、この本は特に腹の底にストンと落ちるような内容が記されており、また小野田さんが提唱する教育内容は人間の本質から導き出されものが幾つもあり、私にとって感銘を受けた育児書の一冊です。
それらの発想は、小野田さんがジャングルで培った経験から来ています。
そして、この本の中で最も重要な箇所は、危機に見舞われたときの心の持ちようを述べている点だと思います。
小野田さんはジャングルでの戦闘を続けていた27年目に、最後の戦友が敵に撃たれ、一人きりになってしまいました。
その時に、一人はマイナスの面もあるが、プラスの面も多いと自分に強く言い聞かせたそうです。
そして、もしそこで落胆していたら、その後は生き延びられなかっただろうとご本人は回想しています。
日本帰国時に見せた、眼光鋭く、背筋を真っ直ぐ伸ばした姿からは、こんな心が折れそうな危機が存在していたとは想像もできませんでしたが、小野田さんはこの時の経験から、危機に見舞われたとき決して絶望せず、生きるために何をすべきか、強く目的意識を持つことが大切だと述べています。
ただし、先の見通しがまるでない状況で、心を支えるのは容易ではありません。
小野田さんの座右の銘は「不撓不屈」であり、仲間を失って孤独となったこの危機にも、ご本人の心にこだましていたと思われますが、氏がこのピンチを乗り切れたのは、かつての日本人が備えていた強靭な精神や、また、ご本人の先天的とも思える負けん気が強いという性格によるものにも思えます。
本書には、引きこもりの状態などに絶対なってほしくないといった記述もありますが、皆が小野田さんのように強いわけではなく、自分ではどうしようもない事態や、心が折れてしまう場面はやはりあり、一休みや逃げることが必要な時もあるとは思います。
また、強靭な精神や危機に惑わされない心の獲得は、方程式のように単純に割り出せるものではなく、その方法は自分自身の手で掴み取っていくしかないと思いますが、重要なテーマであることは確かです。
また、強靭な精神や危機に惑わされない心の獲得は、方程式のように単純に割り出せるものではなく、その方法は自分自身の手で掴み取っていくしかないと思いますが、重要なテーマであることは確かです。
このように小野田さんは晩年に、生きる力を失っている日本の子供たちを気にかけ、自然塾という名称のキャンプを主催していました。
是非とも、育児書として素晴らしい本書を手に取り、また自然に触れることで、その厳しさと共に素晴らしさを、子どもたちに体験させてあげてほしいと思います。
また本書は、厳しい社会を生き抜く大人たちにも響いてくる書籍であり、「あなたはどうする?」「覚悟はあるか?」と問い掛けてくる内容となっています。
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