2017/02/24

ロバート・デ・ニーロ主演のおすすめ映画「レナードの朝」 もの哀しい旋律の中に見る生命の輝き  




Günther SchneiderによるPixabayからの画像 



映画「レナードの朝(Awakenings)」は、実話を基にしたストーリーです。

嗜眠性脳炎(しみんせいのうえん)という難病により、長い昏睡状態に落ち入った主人公レナードが、30年ぶりに奇跡的な目覚めを迎えてから始まる物語です。

病気の主人公であるレナードをロバート・デ・ニーロが熱演し、もう一人の主人公である医師セイヤーを、ロビン・ウィリアムズが堅実に演じています。

この作品の白眉は、なんといっても物語の終盤に訪れるダンスシーンです。

ちなみに私が独断と偏見で選ぶ、映画史に残るダンスシーンベスト3は以下になります。



  • 本作「レナードの朝」の終盤にやってくるロバート・デ・ニーロとペネロープ・アン・ミラーとの事務室でのダンスシーン



  • 「セントオブウーマン」でアルパチーノとガブリエル・アンウォーが魅せた、ホテルのボールルームでタンゴを踊るシーン



  • 「Shall we ダンス?」で役所広司さんと原日出子さんが魅せた、夜の家の庭でのダンスシーン 




「セントオブウーマン」のダンスシーンは華麗という表現が相応しく、「Shall  we  ダンス?」のダンスシーンは原日出子さんの拗ねたいじらしさが雰囲気を引き立たせています。

3つともすべてシチュエーションが違いますので、興味を持った方は見比べてみてください。

では、本作のダンスシーンはどのようなものかを、そこに至るまでの解説を含めてしていきますが、ネタバレもありますので、未見の方は気を付けて下さい。

人と接することが苦手な医師セイヤーは、手違いから畑違いの病院へ面接に来てしまいましたが、結局採用されて働き始めます。


そこで担当することになったのは、何十年も寝たきりの患者たちでした。

セイヤーは何とか病状を改善させようと奮闘し、新薬を試みる許可を得て、まずはレナードへの投与を開始します。

そして投薬を続けていたある日、レナードが目覚めるのです。


それは30年振りのことでした。

この成功によって、他の患者へも新薬の投与が開始され、そこから続々と患者が目覚め始め、病室には賑わいが訪れます。


そして、レナードはある日のこと、父親の見舞いに来ていた女性ポーラに恋をします。

そんなレナードを含め、寝たきりであった患者たちは、ようやく取り戻した人生の春を謳歌していきます。

しかし、徐々に身体に痙攣が起きるようになり、病気が再発してしまったことが分かります。

病状は更に悪化していき、再び昏睡状態に戻ることが予想されます。レナードはそんな思い通りにならない自分の身体を恥じ、病院へ訪れたポーラへと別れを告げます。


「もうあなたとは会わない」


そう別れを告げたあと、そこから二人のダンスが始まります。

このダンスシーンは、人間が孤独な生き物であることを浮き彫りにすると同時に、異性と溶け合うことの素晴らしさが凝縮され、散り際に咲き誇る花のような、溢れんばかりの生命の輝きが見事に表現されています。

この瞬間は永遠の時が流れています。

背後に流れる哀愁の旋律が、孤独と融合というアンビバレントな性質を表現する二人のダンスをより引き立たせています。


人間は誰しもが孤独を抱えて人生を生きていきます。

時に家族と、時に異性と、時に友と、時に書物と、時に経験と溶け合い、それらを拠り所に孤独を生きていきます。

物語の最後は、人と接するのが苦手な医師のセイヤーが、看護師のエレノアと接近していくことを暗示するかたちで終わり、孤独の拠り所となる他者との触れ合いに観る者を温かい気持ちにさせてくれます。

とにかくお薦めの映画です。


一応ダンスシーンを上げておきますが、映画全編を通してこそ、この場面が活きてきますので、未見の方は気を付けてください。



I Won't See You Anymore(あなたとはもう会わない)






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