2017/01/31

シルベスター・スタローン主演のおすすめ映画「ロッキー(Rocky)」 100万ドルを積まれても譲れないもの



画像 canva / Michal Bednarek


熱くなれる映画の代表格である「ロッキー」は、俳優・シルヴェスター・スタローンが主演を務め、その筋書きである脚本を書いたのも、炎の男・スタローンでした。

世に出る前のスタローンは、しがない役者生活を送っていました。

シナリオライターとしての実績はそれなりにありましたが、映画やテレビの仕事も端役であり、貧しい生活を送っていました

そんなある日、スタローンはボクシングの世界ベビー級タイトルマッチを観戦します。

1975年3月のことです。

その試合は、世界最強の男・モハメドアリ対チャックウェプナーとの試合でした。

ウェプナーは、チャンピオンからすればスパーリング相手にしか思われておらず、誰しもが血祭りにあげられると考えていました

そんな、最強のボクサーと引き立て役・ウェプナーとの試合は、大方の予想通りチャンピオンの優勢で進みました。

それでもウェプナーは必死にもがき、チャンピオン食らい付きます。


そして9回、チャンピオンからダウンを奪います。


まさかの展開である。


焦りを感じたチャンピオンは猛反撃に出て、再度劣勢に立たされたウェプナーは、何度か倒れそうになるものの辛うじて15回の最終ラウンドまで戦い抜きます。

最終的な試合結果は、チャンピオンが判定で勝利したものの、この日のヒーローは、最強のチャンピオンに諦めず向かっていくウェプナーでした。

スタローンはこの試合を見て、勇気付けられました。

そしてそれは、ウエプナーの姿をスタローン自身の境遇に重ね合わせ、自らを奮い立たせることでもありました。


スタローンはこの感動に突き動かされ、映画の脚本を書き始めます。

ストーリーは、うだつの上がらないチンピラボクサーが最強のチャンピオンと戦う話です。

それはスタローン自身も含めた、底辺で必死に生きながら、あきらめない者たちの物語でした。

脚本は3日半で書き終わり、出来上がったものをプロデューサーと共に練り上げ、スタジオに持ち込むと大いに評価されました。そして脚本には、7万5千ドルという破格の値がつけられました。

ただしそれには条件がありました。

主役のボクサーを、当時の一流俳優であるポールニューマンやロバートレッドフォードらに任せるというものでした。

お金のないスタローンにとって、高額の脚本料は魅力でした。

しかし、スタローンは首を縦に振りませんでした。



「主演はあくまでも俺だ」


と言い張ったのです。

その後も制作会社との交渉は続き、脚本料は大幅に高騰し、35万ドルにまで跳ね上がりました。

それでもスタローンは高額の脚本料には目もくれず、100万ドルを積まれても渡せない、自分が主役を演じることができなければ、と言いました。


信念を持つ男は、金なんぞになびきません。

普通の人間であれば、間違いなくここでお金を受け取り、 今後脚本家として生きていく選択肢を考えたり、主演は次回作でもいいかと思うでしょう。

ましてやお金に困っている状況であれば、尚のことでしょう。

それでもスタローンは首を縦に振らず、主演を張ることに、こだわりました。

結局制作会社が最終的に折れ、スタローンが主演をやることになったものの、脚本料は一気に2万ドルにまで下げられました。

いくら脚本が面白くとも、無名の役者が主演を張るとなれば、誰も売れるとは思わなかったのです。

スタローン自身も、売れるとは思っていなかったでしょう。

とにかく、売れようが売れまいが関係ない。演技が上手かろうが下手だろうが関係ない。

この作品の主役は俺が演じきり、世に問うのだ。

そういう純粋な熱意に突き動かされ、映画ロッキーは撮影され、完成しました。

そして、実はプロデューサーも、ロッキーの完成保険をかけるために家を抵当に入れ、5万ドルを作ったという裏話があったように、まさにロッキーのように、倒すか倒されるかの熱気が制作陣にも存在していたようです。

上映後の結果はご覧の通り、全米の興行収入は1億ドルの大台を突破しアカデミー作品賞を獲得しました。


なぜこれほどまで人々に支持されたのか。

それは、作品にぶつけられたスタローンの情熱が、観るものの心を揺さぶるからです。

本作におけるスタローンの演技は、お世辞にも上手いとは言えません。

というよりも、むしろ大根役者です。

しかし、いやだからこそ、スタローンの煮え滾るエンスージアズムが、際立って画面から放たれているのです。

私は、ロッキーを見てパンチを繰り出さない男は、娘との結婚をお断りしてほしいと勝手に思っています。

そんな鈍い男は、いざというときに家族を守れないと思うのです。

「100万ドルを積まれても渡せない」

大金を前にしてスタローンは言いました。

お金が人生のすべてではないことなど、誰しも理解しています。

しかし、それはある種の綺麗事であることも、誰しもが理解していることだと思います。

そしてまた、お金がないために命を断つ人間が大勢いることも、誰しも理解していることでしょう。

貧しい生活の中で、目の前に見たこともない大金を積まれ、それでもこれだけは渡せない、と言える何かが、あなたにはあるだろうか?

この作品は、観客や視聴者にそういったことも突きつけてくる、一人の信念を持った人間の人生を反映した作品でもあります。

ビル・コンティによるテーマ曲「Gonna Fly Now」も、熱くなれること請け合いです。









観たことのない方はぜひどうぞ。




参考文献
  • 炎の男スタローン―アメリカン・ヒーロー・ナウ 講談社 ジェフ ロビン 高沢 明良



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